税金の話・2〜控除とは何?
2012.02.12 Sunday |
現在、税務署で確定申告の入力サポートとして働いている私。
仕事上、当然ながら守秘義務があるので個人情報を流すことはできないが、国税庁として広報したい話ならブログに載せるのもアリだろう。
確定申告に来る人は圧倒的に高齢者が多いけど、実は若い人にも無縁ではない。初めて確定申告に来た方から質問されたことや、知ってたら役に立つ税金の話を、シリーズにして伝えていこうと思う。
さて、所得税は収入がある人なら誰でも納める義務があるといえる。しかし、子どもや親を扶養していたり、住宅を購入してローンを抱えていたり、本人や家族に障害のある人がいたりなど、経済的にゆとりのない人には少し融通をきかせようと(この表現が正しいかどうかはわからないが)いうのが『控除』である。
普段の給料からはこの控除を考えずに所得税が引かれているので、年末に控除を計算に入れて差し引きするのが「年末調整」、2か所以上から収入があったり、年末に勤務していないなどで年末調整を受けていない人は「確定申告」で調整してもらう必要がある。
『控除』の種類
・医療費控除…1年間に医療費をたくさん払った場合に控除される。所得が200万円以上の人は一律10万円、200万円未満の人は所得の5%を年間に支払った医療費から差し引き(自己負担額とか、免責のようなものだと考えたらわかりやすい)し、残りを
控除の対象額とする。よく勘違いされるが、控除の対象として計算に入るだけで、この額を全部変換してくれるわけではない。
なお、一つの家庭で1年間に支払われた医療費全額を対象とすることができる。これは、「生計を一とする者が支払った」と考えられ、所得を得ている人が複数いたら、どの人が控除を受けてもいい。ただ、還付を受けられるのは所得税をすでに納めている場合に限るので、納めていないのであれば当然還付にならない。また、ほかの控除をたくさん受けている場合、控除額の枠が空いてなければあまりメリットがないといえる。
・社会保険控除…勤め先で厚生年金・健康保険に加入している人は年末調整を受ければ問題ないが、自営業やアルバイトで国民年金・国民健康保険・任意で健康保険に加入している場合、転職などでその年度に支払ったことがある場合は確定申告を受けることで控除される。扶養家族がいれば、その家族のものも申告することで控除の対象となる。
・生命保険控除…年末調整でも、会社に証明書を提出すれば控除してくれる。生命保険会社から秋ごろに送付される「生命保険控除の証明書」の提出が必要。『一般』と『個人年金』の枠があり、それぞれ支払金額が10万円を超えると最高5万円の控除が受けられる。一般の生命保険と個人年金保険、合わせて10万円の控除枠がある。
・地震保険…火災保険に付随して加入しなければならないが、控除を受けることができる。地震保険と旧長期損害保険と二種類があり、一つの保険であっても両方に該当する場合と、しない場合とある。地震保険は最高5万円、旧長期損害保険は最高15000円の控除枠があり、どちらか片方しか採用できない。一般的には、どちらか控除該当金額の大きい方を選択する。
・寄付金控除…今年は特に東日本大震災への寄付が多かったので、該当者も多いと思われる。東日本大震災への寄付であれば、住民税でも控除対象になる。領収書の提出が必要なので、募金箱への募金は控除対象にならない。
・障害者控除…本人または扶養家族に障害があれば、状況に応じて控除額がある。障害者手帳の提示が必要な場合もある。
・配偶者控除…配偶者を扶養していれば控除が受けられる。配偶者に所得があれば、所得額に応じて控除額が変わる。
・扶養控除…子供や親、親族を扶養していれば控除の対象となる。ただし、平成23年度から16歳未満の子供は控除の対象とならなくなり、国税での控除額はなし。住民税では対象になるので、申告は必要。70歳以上の老親の場合は控除額が変更になる。
・寡婦・寡夫控除…離婚・死別・生死不明・未帰還などで配偶者を失った人に対する控除。
女性の場合、離婚・死別して扶養する家族があり、扶養家族の所得が38万円未満である、死別して所得が500万円以下である、などの規定を満たせば受けられる。
男性の場合、離婚・死別して扶養がいれば受けられるが、それ以外の場合は対象とならない。
・住宅借入金特別控除…属にいう『住宅ローン控除』。申告年に住宅を購入したり増改築をして、ローンを組んだ人に対して控除がある。金融機関での借り入れがない場合はこの控除を受けることができない。住宅を購入するために親から贈与を受けた場合は、贈与税の申告も必要。書類の提出が必須。翌年からは証明書を発行することにより、年末調整での控除が可能。
こんなところだったと思う。