当然なことかも知れないが、私は食べるために働いている。
今の仕事はとても好きだったけど、3月下旬に上のほうから「事務仕事・店舗での業務は一切やらなくていい」と言われてしまった。人手が足りていて、私が余り者だというなら仕方ないと受け入れたかもしれないが、契約書を作ったり、入金管理をしたり、クレーム対応をしたりという日々の管理的業務は、2月に一人正社員が辞めたので私が主体となってやっていた。本社から補充の社員は来たけど、支店によって仕事のやり方が違うので、来て2ヶ月の社員より、来て1年の私の方が戦力なのは間違いない。なのに、外されてしまった。
正直、ものすごい喪失感と脱力感で、もうこの会社に私の居場所はないと感じた。それ以来、いつ辞表を書こうかと思い悩んだ。そんな時、更新の書類を渡された。「会社も経営が厳しいから、時給は100円ダウンになります」という言葉つきで。
もらった瞬間「あ、印鑑押さなきゃいいんだ」と思った。そして、更新しなければここにいる必要はなくなるんだと思うと、気持ちがとーっても軽くなった。
私が辞めるとは、会社の誰も思っていなかったらしい。上司に書類を渡しながら「更新はしません」と言ったとき、みんなはどんな顔をしていたのだろう。
一番仲のいい経理のお姉さん(私より7つくらい上)からは、「きぃさんが辞めたら仕事が回らなくなる」「なんで今?もう少し我慢したっていいじゃないの」「せめて仕事が決まってから辞めればいいのに」とさんざん言われた。でも、仕事から外されたんだからいてもいなくても同じじゃないの。そりゃ、今は黙って残りの事務仕事をしているけど、本当はやっちゃいけないんだろうし、新規の仕事は全く引き受けていないので、残る人がそれなりに頑張らないと。
誰も教える人がいないので、私が新人君の教育もしている。でも、私がいなくなったら他の人がやらなくちゃ。
本社で一緒に仕事をしてた主任男性が、仕事の電話のついでに「なんで辞めるん?なんかあったん?」と聞いてきた。
なんかあるから辞めるんだ、とわかってくれる人がいただけで、私は嬉しかった。一応、2年間頑張ってきた甲斐はあったのかな。いろいろ叱られながら、自分を叱咤激励しながら走り続けてきた2年間だが、やっと立ち止まることができる。
さて、新しい職場を探さなくてはならないのだけど、正直なところ、この2年間毎日100%以上の力を出して走ってきたので、すぐ次の職場へ注ぐ気力が出てこない。少し充電して、落ち着いて考えたい。
先日、次男の中学の懇談で担任の先生が「焦らず、落ち着いてじっくり取り組む、それが私の方針です」とおっしゃった。あ、私に今必要なのはこれだ、と思った。
仕事をすることはそもそも好きだけど、どんな仕事でもいいわけじゃないし、次こそは正社員として腰をすえて長く勤めたいと思っている。だったら、焦らずじっくり見極めて決めたほうがいい。
会社では、私の抜けたあとを派遣社員で補う方針のようだが、なかなか見つからないとか。派遣にしたら、私より時給を高くしないと来ないもんね。しかも残業はさせられないし、責任のある仕事も無理だし。パートも募集しているようだが、はてさていい人が見つかるのかどうか。もう私には関係ないけど。