とめはねっ!−鈴里高校書道部 河合克敏
2016.02.07 Sunday |
評価:
河合 克敏
小学館
¥ 7,960
(2015-05-29)
以前から興味があって、読んでみたいと思っていた漫画。
昨年末に古本屋で1巻を立ち読みし、これは面白いと買って帰った。それがあまりにも面白くて、翌日には続きを買いに行き(古本だけど)、結局2週間程度で全巻揃えて読み終えてしまった(古本だけど)。
副題のとおり、高校の書道部を舞台にした漫画である。
お話は主人公とヒロインが高校に入学し、部活紹介で書道部の揮毫(きごう)パフォーマンスを見るところから始まり、鈴里高校の書道部で成長していく姿を描いている。
面白いのはキャラクター設定。主人公:大江縁(おおえゆかり)は小学2年生からカナダで育った帰国子女の男子高校生。日本の学校では授業で習字をやることも知らずに書道部に入部し、一から学んでいく。
かたや、ヒロイン:望月結希(もちづきゆき)は小さい頃から柔道を学び、その腕前は日本一と言ってもいいほど。きれいな字を書きたくて柔道部と掛け持ちながら書道部に入り、書道の楽しさに目覚めていく。
この二人を迎え入れる書道部の先輩3人も個性的で魅力的、さらに書道部のライバル鵠沼(くげぬま)高校の書道部も個性が強くて面白い。鵠沼高校書道部が「書の甲子園」に出品するのをきっかけに、鈴里高校書道部も世界を広げていくことになる。
この本の面白いところは、ただ書道が上手になっていく過程を描いたわけではなく、書の歴史や成り立ち、背景や書き手のエピソードなど、書道を知らない人にもわかりやすい解説が繰り広げられるところ。
漢字の成り立ちや歴史背景の説明が多いため、漫画に出てくるのは中国史が多い。作者が男性だからか、歴史はわりと詳しく描かれている。女性は歴史をいろいろ説明されると頭に入らなかったり、飽きちゃう人もいると思われるが、面倒なら詳細は読み飛ばしても(失礼)話は理解できるようになっている。
また、ヒロインが体育会系の性格の上、天真爛漫であっさりしているのがいい。テンポよく話が進むのも、このヒロインの性格のおかげだと思う。
これを読んで、私もまた書道をやりたくなった。この本にある基礎をやったら、前より上手に書けるかも。なんて思ってしまうくらい面白い。一気に最終巻まで読み終えたら、あまりの充実感にため息が出た。