教育資金の一括贈与非課税措置
2013.04.18 Thursday |
インコブログにするつもりはないので、ここらでお仕事に関する話題をひとつ。
3月に決まった税制改正で、話題になっているのが「教育資金の一括贈与非課税措置」。
簡単にいうと、子・孫・ひ孫などの直系卑属(自分が産んだ子供より下の親族)に、1500万円まで一括で贈与したとき、教育資金に使うものは届け出をすれば非課税にしますよ、というもの。
今までも、子どもや孫に教育資金を与えても、生活に必要な範囲ならその都度渡せば非課税だった。また、どんな人からもらっても、もらう人一人につき110万円までは贈与税がかからない(暦年課税制度)。
じゃあなんで今回わざわざこんな法令を作ったのか?
答えは簡単、「高齢者の持っている資産を気兼ねなく使ってもらいたいから」。
だいたいどんな人も、孫には甘い人が多いでしょ、少子化の時代だし、孫にはいろいろお金かけてやりたいでしょ、親は生活でいっぱいいっぱいだし、じじばばが教育資金を出してやったら、親世代もゆとりができるでしょ、一度に渡しても贈与税かからないから相続税の対策にもなるでしょ、という政府の魂胆だ。
連日新聞やネットやテレビで報道しているらしく、このことについて問い合わせてくる人も多い。
でも、今の段階では『信託銀行』でしかこの制度を受けることはできない。『信託銀行』にもらう人の名義で口座を開いて、そこに一括で1500万円まで預けることができる。もらう人は銀行経由で「教育資金としてもらった」と税務署に届け出し、使うときには「教育機関からの領収書」などを信託銀行に提示しなくては引き出せない。
これだけでもめんどくさいと思うでしょう?しかも、信託銀行に預ける=信託行為ということで、信託手数料がかかる。銀行もただで仕事はしません。それも、この制度が使えるのは平成27年から3年間だけなのに、口座はもらう人が30歳まで保管しなくてはならないし、余った分は口座の持ち主が30歳になった時点の残高に贈与税をかけられ、贈与したとみなされる。そのあとは自由に使えるわけだけど、それまでは上げたじじばばが勝手に「返せ」と引き出すこともできないし、もらう予定の孫が「返す」と引き出すこともできない。
そして、信託銀行はどこにでもあるわけじゃないので、街中近くに住んでいて、銀行が使いやすい人はあまり問題ないと思うけど、私のように郊外に住んでいて、信託銀行が遠い人は口座開設するために平日休んで信託銀行へ行かなくてはならない。一度開けばネットバンキングなどあるだろうけど、引き出すためにいちいち証明書を出して許可をもらわねばならず、手続きは楽じゃないと思われる。
お金があり余っていて、相続税で取られるくらいなら少しでも孫にやっておきたい高齢者には勧めてもいいけど、一般のそんなに相続税がかかりそうにない高齢者の皆さんは、今まで通りその都度、援助してあげた方がお得だと思います。使い道も制限されないしね。たくさんお金を出したければ、お孫さんが留学でも海外旅行でもされればいいんじゃないかな。